子どもの歯並びは
いつ決まる?

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子どもの歯並びは成長とともに決まっていきます。歯並びは何歳頃までにどのようなプロセスで決まるのかご説明します。

私が監修しました
スマイル髙城歯科
院長髙城秀典

子供の歯並びが
決まるタイミング

歯並びは6歳~10歳頃に
おおむね決まります

子どもの歯並びは6歳~10歳頃の乳歯から永久歯への生え変わり期におおむね決まります。6歳を超えると、歯並びが自然に改善することはほぼなく、むしろ今後さらに悪化していく可能性のほうが高いです。

なぜ6~10歳頃が重要?

不正咬合の原因の多くは「歯の並ぶスペース不足」です。顎の骨の成長が不十分であると、歯が並ぶスペースが足りずガタガタの歯並び(叢生)や出っ歯(上顎前突)八重歯といった不正咬合になりやすくなります。6~10歳頃はまだ顎の骨が成長する時期であり、顎の骨が適切に成長すれば永久歯がきれいに並ぶ可能性が高まります。

6歳臼歯(第一臼歯)は乳歯の一番奥に生えてくる永久歯です。最も大きく噛む力が強く、歯並びや嚙み合わせの基準となるお口の中の大黒柱のような重要な歯です。6歳臼歯の位置がズレると、その後に生えてくる永久歯の噛み合わせ全体に悪影響を及ぼします。

乳歯や生えたばかりの永久歯は骨が柔らかく、歯の根も短い未完成の状態です。そのため弱い負荷でも短期で歯を動かすことができます。生えた永久歯は3年ほどかけて長さと厚みが増え、頑丈な大人の歯へと成長していきます。成長するにつれて永久歯が動かしにくくなるため、生え変わり期に早期に治療を始めることが重要です。

歯並びが完成するのは
20歳頃

永久歯が生えそろった後でも、20歳頃までは歯並びが自然に動く可能性が多少あります。顎の骨の成長はまだ続いており、永久歯の根も完全には安定していないためです。それまでの間は食生活・姿勢・癖などさまざまな要素が歯並びに影響を及ぼします。
歯並びが完成する20歳頃までは歯列矯正による治療効果も出やすいため、中学生や高校生から矯正を始めるのもおすすめです。

子どもの歯並びが決まる
2つの要因とは?

①遺伝的な要因

子どもの歯並びは両親からの遺伝の影響を強く受けます。骨格の遺伝率は親子間で約9割弱あるため、ご両親のどちらかが歯並びが悪い場合は将来的に子どもも不正咬合になる可能性が高いです。
例えば顎の骨が大きい・小さい・歪んでいる/歯のサイズが大きい・小さいなどの特徴は子どもにも遺伝して不正咬合の原因となります。

②環境的な要因

子どもの生活習慣も歯並びに大きく影響します。歯並びに影響を与える主な習慣をご紹介します。

歯並びに悪影響な習慣
  • 指しゃぶり
  • 口呼吸
  • 舌癖
  • 頬杖
  • 片側ばかりで噛む
  • 姿勢が悪い
  • うつぶせ寝・横向き寝
  • 柔らかい食べ物ばかり食べる
  • 栄養不足や栄養の偏り
  • 虫歯や歯の早期喪失を放置する

指しゃぶりは乳幼児期によく見られる行動ですが、長期間続けると歯並びに悪影響を及ぼします。特に永久歯が生え始める6歳以降も指しゃぶりを続けると、前歯が突き出たり、前歯がかみ合わない開咬になったりするリスクが高まります。

口呼吸の癖が続くと口の周りの筋力が低下し、上顎が狭くなってしまうリスクが高まります。上顎が狭いと歯が並ぶスペースが不足して出っ歯・開咬・受け口などになりやすくなります。

舌癖とは、舌で前歯を押したり、歯と歯の間に舌を入れたりする癖のことです。歯が押し出されて前歯が開いてしまう「開咬」や「出っ歯」のリスクが高まります。

頬杖は片側の顎に偏った力がかかるため、顔の骨格や顎の成長に歪みが生じ、歯並びが悪くなる可能性があります。特に成長期のお子様は顎の骨が柔軟で影響を受けやすいため注意が必要です。

食事の際に片側ばかりで噛むと、顔や顎のアンバランスな成長を引き起こす要因となります。顎の成長が左右で偏ることで、歯並びや噛み合わせがズレてしまうことがあります。

猫背になると自然と顔が下を向き呼吸が浅くなり、無意識にお口が開いて息をしてしまいやすくなります。舌の位置や顎の位置が下がり、出っ歯になりやすくなります。

うつぶせ寝や同じ側でばかり寝る習慣は、顎に偏った圧力をかける原因となります。これにより、成長中の顎の骨が歪み、歯並びが乱れる可能性があります。

柔らかい食べ物ばかり食べていると顎の骨が十分に発達しないことがあります。顎が小さく永久歯が正しく並ぶスペースが足りなくなり、デコボコ歯(叢生)や出っ歯などの原因となります。

顎の骨の発達にはバランスのよい食事が不可欠です。カルシウムやビタミンDなどの栄養分が適切に摂取できていないと、顎の成長がしにくく歯並びも悪化しやすくなります。

虫歯による乳歯の早期喪失を放置すると、隣り合う歯が移動して永久歯の生えるスペースが不足して歯並びが悪くなることがあります。虫歯は早期に治療し、定期的に歯科医でチェックを受けることが大切です。

子どもの歯並びは
自然に治る?

歯並びが自然に
治ることはある

子どもの歯並びは成長や顎の発育により自然に治ることがあります。特に乳歯から永久歯への生え変わりの時期(6~10歳頃)には、歯並びが変化することが多く見られます。

自然に治りやすい歯並び

自然に治りやすい歯並びにはいくつかの特徴があります。ただし、これらは必ずしも全員に当てはまるわけではありませんので、自己判断せず歯科医師に相談することが大切です。

乳歯が斜めに生えるのは珍しい現象ではなく、矯正の必要はないケースが多くみられます。顎の成長とともに、歯の向きやねじれが改善される場合が多いです。

乳歯の時点で少しすき間がある場合、永久歯が生えるときにちょうどよく収まり、自然に整うことが多いです。

永久歯の生え変わり期には前歯が少しズレたり重なったりすることがありますが、顎の成長や生え変わりに伴い自然に整うことがあります。

自然に治りにくい歯並び

一方で、自然に治ることはほとんどなく放置すべきでない歯並びもあります。以下のような歯並びは成長とともにさらに悪化することもあるため、早めに対処する必要があります。

反対咬合は、上顎の前歯よりも下顎の前歯が前に出ている歯並びです。子供の受け口が自然治癒する確率は10%未満と言われています。上顎の成長は10歳頃まででほぼストップしてしまい、それ以上は顎の成長を促すことができません。11歳以降は下顎の成長ピークが訪れるため、放置することでさらに受け口やしゃくれが悪化する可能性が高いです。

永久歯の出っ歯はそのまま放置しても自然に治ることはほとんどありません。指しゃぶりや口呼吸など日常の癖が原因で出っ歯になってしまった場合は、今後さらに悪化することも考えられます。

生え変わりの段階で一時的に軽度のデコボコ歯になる場合がありますが、重度の場合は放置しても治らない可能性が高いです。

開咬(かいこう)は、上下の前歯が噛み合わない前歯が開いてしまう状態です。永久歯が生えそろっても開咬が残っている場合は、自然には改善しにくいです。

交叉咬合は噛み合わせが左右でズレており、一部の歯が反対に噛んでいる状態です。永久歯が生えそろっても交叉咬合が残っている場合は、自然には改善しにくいです。

歯科医師に
相談しましょう

自然に治る・治りにくい歯並びはあくまで目安であり、お子さんそれぞれのお口の状態によって適切な方針は異なります。
子どもの歯並びが気になる場合は自己判断せず早い段階で歯科医師に相談することが大切です。

歯並びのために
できる6つのこと

食生活の改善

子どもの歯並びを良くするためには、食生活の改善が重要です。硬い食べ物を噛むことで顎の骨が健康的に成長し、歯並びが整いやすくなります。また、カルシウムやビタミンDを含む食材を摂取することで、歯や骨の成長を促すことができます。

頬杖・指しゃぶりなどの
悪癖の改善

頬杖や指しゃぶりなどの癖は、子どもの歯並びや顎の成長に悪影響を与えます。子どもが癖を持っている場合は、優しく指導して改善を促しましょう。

適度な運動を促す

適度な運動は、子どもの全身の成長だけでなく、顎や口周りの筋肉の発達にも繋がります。特に姿勢を正して運動をすることで、口腔周りの筋肉が整い、自然な歯並びの維持に役立ちます。また、運動を通じてしっかり息を吸い、呼吸を整えることも重要です。口で呼吸する癖を減らし、鼻呼吸を促進することで、歯並びの悪化を防ぐこともできます。

虫歯予防に努める

乳歯の時期に虫歯が進行すると、永久歯の位置や生え方にも影響が出ることがあります。歯磨きの習慣をしっかり身につけ、バランスの良い食生活を心掛けて虫歯を予防しましょう。また、歯医者で定期的にクリーニングやフッ素塗布を受けることも虫歯予防に繋がります。

定期検診・早期診断

定期検診や歯科医師による早期診断は、子どもの歯並びや顎の成長の状態を確認し、問題に早く対処するために欠かせません。6歳頃から12歳頃にかけて乳歯から永久歯への生え変わりが始まり、歯並びが決まる時期に差し掛かります。この重要な時期に歯科医師のアドバイスを受けることで、歯並びだけでなく口腔全体の健康を守ることができます。

小児矯正(1期矯正)

子どもの歯並びが悪くなる兆候がある場合、1期矯正と呼ばれる小児矯正を検討するのも有効な方法です。主に6歳から12歳の乳歯と永久歯が混在する時期に行われ、顎の成長を促しながら歯の位置を整える治療です。
小児矯正を早期に開始することで、永久歯が自然に綺麗に並びやすくなる可能性があります。また、この段階での治療は、将来的な大掛かりな矯正を回避できることもあります。歯科医師と相談し、最適なタイミングを見極めましょう。

子どもの矯正は
いつから始めるべき?

矯正治療を始めるタイミングは「永久歯の生え変わり時期」「永久歯が生えそろった後」の2つがあります。

次のページでは、子どもの矯正を始めるべきタイミングについてご説明します。

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いつから始めるべき?
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