歯槽骨再生治療の種類と、
各術式の治療の流れ・費用
歯槽骨再生治療とは?
歯槽骨再生治療とは、インプラント治療に際しておこなう「歯槽骨(顎の骨)の再生治療」です。
インプラントを受けるときに誰でも必要になるわけではありません。インプラントを埋め込む顎の骨に“厚さや幅が足りないとき”におこないます。
普段通いの歯医者さんに「骨が足りなくてインプラントができない」と言われた方でも、歯槽骨再生治療をおこなえばインプラント治療を受けることは可能です。
術式別の歯槽骨再生治療の流れ
それでは術式別に治療の流れを簡単に説明します。
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サイナスリフトとは、上顎の骨に厚みが足りないときにおこなう歯槽骨再生治療です。歯槽骨の上にある上顎洞という空間に骨補填材等を充填することにより造骨する手法で、上顎の骨の厚みが(一般的には)5mm未満のときに選択する術式です。
1歯茎を切開する
上顎の歯肉の側面を切開し、歯槽骨を露出させます。
2歯槽骨を切り抜き、シュナイダー膜をはく離する
歯槽骨を露出させたら、次はその歯槽骨を四角く切り抜き、「シュナイダー膜」という顎の骨と上顎洞の間にある膜を露出させます。
露出したシュナイダー膜を歯槽骨から剥離してスペースを作ります。
3作ったスペースに骨充填する
作ったスペースに移植骨や骨補填材を充填し、シュナイダー膜をを押し上げます。あとは切り取った顎の骨を戻し、切開した歯茎を縫合して終了です。
その後、骨がしっかりできるまで3~6か月ほど待ちます。
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ソケットリフトは、サイナスリフトと同様に上顎の骨に厚みが足りないときにおこなう歯槽骨再生治療です。歯槽骨の上にある上顎洞という空間に骨補填材等を充填することにより造骨する手法で、上顎の骨の厚みが(一般的には)5mm以上のときに適応となります。
骨の厚みが5mm未満のときにおこなうサイナスリフトとの違いは、歯が生えていた部分からおこなうという点と、インプラントの埋入処置時(直前)におこなうという点です。
1歯茎を切開する
まずはインプラントを埋め込む箇所の歯茎を切開します。
2ドリルで歯槽骨に穴をあける
ドリルで歯槽骨に穴をあけます。
3骨充填する
移植骨や骨補填材をゆっくり慎重に充填していき、シュナイダー膜ごと上顎洞を押し上げます。
4インプラントを埋め込む
インプラントを埋め込みます。
補足:ソケットリフトのメリットと私の適応判断
ソケットリフトとサイナスリフトは本質的には同じものです。上顎洞に骨補填材を充填するという点ではどちらも同じです。
違いは「インプラント埋入に先立って骨充填を歯槽骨側面からおこなう(サイナスリフト)」か「インプラント埋入処置時(埋め込む直前)に空けた穴からおこなう(ソケットリフト)」かの違いだけです。
そしてその適応判断の本質は、「インプラントを埋入しても初期脱落がおこらないくらいに骨に強度があるかどうか」です。骨の厚みが5mm以上か未満かは、目安でしかありません。つまり、たとえ骨が薄くても骨に強度さえあればソケットリフトを選択できるわけです。
サイナスリフトはソケットリフトに比べて侵襲性が高い術式です。術後に腫れが顔面に広がることも多く、そして治療期間も長くなります。できれば回避したい術式です。
ですから当院では、骨の強度を総合的に判断しながら、インプラント埋入時に“骨の強度を確保する工夫”も施しならが、できる限りソケットリフトを選択するようにしています。
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サイナスリフト / ソケットリフトが歯槽骨(顎の骨)の内側に骨を造る術式であるのに対し、GBRは歯槽骨の外側(つまり歯茎との接地面)に骨を造る術式です。歯槽骨の幅や高さが足りないときに用います。
1歯茎を切開する
まずは歯茎を切開し、歯槽骨を露出させます。
2遮断膜で骨を造るスペースを覆う
骨を造るスペースを決め、そこを遮断膜で覆います。
3骨再生誘導材を注入する
遮断膜の内側に骨再生誘導材を注入します。
4歯茎を縫合する
切開した歯茎を縫合し、遮断膜と骨再生誘導材を密閉します。
4~12か月後、骨再生誘導材が骨に置き換わり、インプラントが埋め込めるようになります。
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ソケットプリザベーションは、抜歯後におこる「骨の吸収」を防ぐための予防術です。抜歯時に併せておこないます。
1抜歯する
残せない歯をゆっくり丁寧に抜歯します。
2抜歯した箇所を清掃する
抜歯した箇所を丁寧に清掃します。
3骨充填する
骨補填材を充填し、コラーゲン製の膜を被せます。
4歯茎を縫合する
歯茎を縫合します。
この処置により、抜歯による骨吸収を最低限に抑えることができます。
歯槽骨再生治療の費用
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Aサイナスリフト※1歯あたりS88,000円(税込)M132,000円(税込)
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Bソケットリフト※1歯あたり33,000円(税込)
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CGBR(骨誘導再生法)S60,000円(税込)M80,000円(税込)
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Dソケットプリザベーション33,000円(税込)
治療時・術後の痛み、副作用・リスク
局所麻酔をして処置をおこないますので、術中に痛みはほとんどありません。術後に麻酔が切れると痛みが現れますが、処方された痛み止めを飲めばほとんどおさまります。痛みや腫れは1週間程度で落ち着いてきます。