審美性追求への
こだわり
私の診療目標は、“患者さんの理想を超えること”です。そのために私は、被せ物や詰め物を作るとき、あるいはその被せ物・詰め物をセット・調整するときに、細部の審美性に徹底してこだわっています。
こだわるべきポイントは「形」「色」「透明感」「歯肉との境目」の4つです。それでは、被せ物の製作・セットを例に、私の具体的なこだわりを紹介していきます。
こだわり1
患者さんの(見た目の)希望をしっかり聞く。
そして、希望を超える提案をする。
歯の被せ物を作るとき、最初に患者さんの希望をしっかり聞きます。持ち込んでいただいた写真などを拝見しながら、どんな見た目にしたいのか細かく伺います。その上で私は、“言われたとおりに被せ物を作ることはせず、希望を超える提案をする”よう常に心掛けています。
仮にあなたが、「天然の歯(自分の歯)にできるだけ近づけたい…」と思っていたとします。きっとあなたは、「たばこのヤニ汚れや歯垢・歯石による汚れ具合も周囲の歯に似せてほしい」と希望するはずです。でも、すぐさま言われたとおりに歯を作ることはありません。あなたが決して“ヤニ汚れや歯垢・歯石汚れが美しいものだと思っているわけではない”ことを知っているからです。だからより良い提案をします。周囲の歯をクリーニングして汚れを落とし、ホワイトニングもして綺麗にして、その色に新たに作る被せ物の色を合わせるご提案をします。
仮にあなたが、「芸能人の誰それさんのような歯にしてほしい…」と思っていたとします。でも私は、言われたままに歯をデザインすることはまずありません。なぜなら、誰かに似せて作った歯を着けてみたら「イメージと違った」ということがよくあるからです。理由は簡単です。顎の大きさ・歯茎の長さ・顔貌が違うからです。こうした違いを加味しながら、より近いイメージにできるよう「もう少し歯は長めに作ろう」とか「もう少し全体的に小さめに作ろう」などとより良いご提案をします。
言われたとおりの見た目ではなく、理想を超える見た目を目指し、より良いご提案をするよう心掛けています。
こだわり2
歯の表面に自然な凹凸を作る
歯先の“不揃いさ”をリアルに表現する
天然の歯は整然としていません。必ず、不揃いさがあります。もしあなたが天然の歯にできる限り近づけることを希望する場合は、そうした「不揃いさ」もリアルに再現します。
リアルさの再現に欠かせないのが歯の表面の形状です。天然の歯の表面には、よく見ると縦縞のようなわずかなミゾがあります。そしてその縦縞の具合は人によって様々です。こうした縦縞もこだわって再現し、天然の歯に近づけていきます。
歯先も重要です。天然歯の歯先はまっすぐ水平ではありません。少し傾いていたり、ギザギザと波打っていたり、刃こぼれのようになっていたりもします。また、綺麗な天然歯は前歯から奥歯までシシマイのようにガッチリそろっていたりしません。前歯と犬歯は他の歯より少しだけ長かったりします。こうしたリアルさも極限までこだわって再現していきます。
※こうした「天然歯のようなリアルさ」を絶対視しているわけではありません。芸能人のような歯を希望される場合はあえて再現しません。ご本人の希望次第です。
こだわり3
歯の色にこだわる
濃淡・グラデーションも細かく表現する
私は歯の色にもこだわります。被せ物の天然さを追求するため、周囲の歯の色の確認と被せ物素材の選択に徹底してこだわります。
天然歯は真っ白ではありません。よく見るとグラデーションがかかっています。歯の根本ほど色が黄色く、歯先にいくほど色が白くなっています。そのグラデーションのかかり具合は人によって様々で、歯の根元から歯先までの色変化が少ない人もいれば、逆に色の変化が大きい人もいます。患者さん個々のグラデーションのかかり具合をしっかり確認し、こだわって再現していきます。
再現にあたり欠かせないのが「セラミック素材」です。セラミック素材であればなんでもいいというわけではありません。「レジン」というプラスチック素材や、セラミックとプラスチックの混ぜ物である「ハイブリッドセラミック」は絶対に使用しません。色が不自然な上に、2~3年で変色してしまうからです(審美性を求めていらっしゃる当院の患者さんにはどうあってもお勧めできません。)。最も色が自然なジルコニアセラミックを用いて、さらに膨大な種類のジルコニアセラミック素材から、最も適した色味・グラデーションの素材を選択し、極限まで自然な色味を再現します。
※天然さを常に優先しているわけではありません。患者さんによっては、(作り物のようでもいいから)真っ白にしてほしいと希望される方もいます。その場合は希望どおり真っ白な歯をご用意します。ご安心ください。
こだわり4
天然歯のような透明度を目指す
金属の使用を避け、透明度を高める
天然の歯には透き通るような透明感があります。私は被せ物を作るとき、その透明感を出すことにもこだわります。
透明感を出すためには、被せ物の素材にセラミックやジルコニアを用いることはもちろん、その素材の透明感を最大限に活かさなければいけません。ですから私は、金属が裏打ちされた「メタルボンド」は絶対に使いません。メタルボンドは外側こそセラミックですが、内側は金属です。それゆえ光が透き通らず、透明感を出すことができないのです。
患者さんが天然さを重視しないにしてもメタルボンドは使いません。歯の奥が「うっすら灰色」な色味を求める患者さんはいないからです。どんな場合であれ素材にこだわり、透明感がある美しい歯を作ることにこだわっています。
※とはいえメタルボンドにメリットがないわけではありません。金属で裏打ちされている分強度に優れており、耐久性があります。審美性を最優先しない患者さんにはメリットです。そのような治療をご希望される方は、ぜひお近くの歯医者さんに相談してみてください。
こだわり5
歯と歯茎の境い目も美しく仕上げる
私は被せ物を作るとき、歯と歯茎の境い目の美しさにもこだわります。ポイントは、歯茎を美しくしてその美しさを保つことと、歯と歯茎の隙間をなくすことの2点です。
金属土台を使った保険の差し歯を長く使っていると、歯茎が黒くなってきます。この黒ずみは「メタルタトゥー」と言い、差し歯に使っている金属イオンが溶け出して沈着することにより起こります。まずはYAGレーザーという専用機器を使って沈着した色素を除去し、歯茎の黒ずみを徹底的に除去します。
この黒ずみは、土台や被せ物に金属を用いることが原因で起こります。被せ物を変えた後に黒ずみが起こらないようにするためには、被せ物そのものあるいはその土台に金属を使わないことが大切です。ですから土台には極力「ファイバーコア」という金属を使わない土台を選択します。(被せ物そのものに金属を使わないことも大切ですが、当院では金属を使った被せ物は選択できないのでその心配はありません。)
また、被せ物を被せるに歯と歯茎に隙間を作らないことも重要です。被せ物はなるべく、歯茎の下に0.5mmほど埋め込むように作るようにしています。このように歯と歯茎の境い目の美しさにも徹底してこだわっています。
こだわり6
デザインは「舌触り」でチェックしてもらう
被せ物は納得するまで何度でも作り直す
歯のデザインの良し悪しは、事前のすり合わせをどれだけしたところでわからないものです。結局のところその良し悪しは着けてみなければわかりません。ですから当院では、出来上がった被せ物をまずは見ていただき、次に着けてみて「舌触りで確認してもらう」ということを大切にしています。
被せ物ができた段階で、まずは目視で確認していただきます。その段階でもし気に入らなければ、希望を聞いた上でデザインからやり直します。仮に目視で気に入ったとしても、必ず仮付けして試用していただきます。仮付け状態で1週間ほど過ごしていただくと、「もう少し歯を大きくしたい」とか「小さくしたい」とか、いろんな要望が出てくるはずです。仮付け状態でお試しいただくことで「もう少しこうしてほしい」とオーダーいただく期間をしっかり設けています。
被せ物のデザインの良し悪しは「紙に書いたイメージ図」でもわからなければ、「被せ物を見ただけ」ではわかりません。付けてみなければわからないものです。気に入るまで本接着することはありません。納得いくまで何度でも被せ物を作り直します。
こだわりの審美治療を、安心して受けていただくために…
審美性を高める技術だけでは、患者さんの期待は超えられないと思っています。ですから当院では、安全性の追求、痛みへの配慮、インフォームドコンセントなど、あらゆることに妥協なく取り組んでいます。当院の“良質な医療を提供するための取り組み”も併せてご覧ください。
良質な医療を提供するための取り組み